偏愛断簡集

徒然なるままに綴る。

私の痛み、誰かの痛み

「カミングアウト・レターズ」RYOJI+砂川秀樹編太郎次郎社エディタス 人は誰だって、自分の見ているもの、見えているもの、見ることのできるものを全てだと思う。その視野から零れ落ちたものは「異端」や「異常」なものとして認識され、切り捨てられる。例え…

資本主義とゲイ・アイデンティティ

最近、私の中での主要テーマの一つは「セクシュアリティ」であると感じている。それは生きることの一側面である。ゲイのみでもレズビアンのみでも、もちろんヘテロセクシュアルのみで人は生きるのではない。(ふふ、聖書の中でもキリストは言っていた。人はパ…

クイア・スタディーズについて

私たちの間にある差異や多様性。特にセクシュアリティに関するもの、こうした差異や多様性そして社会心理的な、あるいは歴史に根ざした構造的な問題について研究するのが「クイア・スタディーズ」である。今回はこの西洋由来の魅力的な学問をざっと見ていき…

「セルフ・ネグレクト」

もう数年前のニュースだったが、ある親子が餓死したという記事を目にした記憶がある。彼らは市役所から生活保護を受けるように、と再三促され家庭訪問もなされていたのにも関わらず拒否し続けた末の結末であったと記憶している。私はこの報道にかなりショッ…

ブッダのことば

「ブッダのことば スッタニパータ」中村元訳岩波文庫 「ブッダの真理のことば 感興の言葉」中村元訳岩波文庫 生きることは難しい。なんてことを最近は思う。職業柄色々な人と接する。業務の内容よりも、相手との人間関係の方が辛く感じることが多い。あぁ、…

「孤独の科学」F.ルッソ

「日経サイエンス」7月号より面白い論文を見つけたので要約して紹介したい。「孤独の科学」である。 孤独感がうつ状態や認知力の低下、心臓疾患、脳卒中など精神的身体的疾患につながる脆弱性と関連していることを示す証拠は近年増えている。ブリガムヤング…

「譲りたくないもの」改稿版

以前自分が書いていたエッセイを久し振りに読み返してみた。私は基本的に頭に浮かんだことを、特にオチもまとまりもなく好き勝手に書いていく。読んだ本の感想や、日常生活の中での気づき、そして小説や創作に関することなど…。今回読み返してみたのは小説に…

クラシック音楽と無二の感覚

私はクラシック音楽が好きだ。基本的にクラシックしか聴かない。理由は単純で楽器の音が好きなのと、訳のわからないチャラチャラした音楽を聴きたくないからというのに尽きる。クラシックは聴いていて飽きない。クラシック好きといっても私の趣味は偏ってい…

美しきセオリー

「知のトップランナー 149人の美しいセオリー」ジョン・ブロックマン編長谷川眞里子訳 本書は図書館で「学問・教養」の棚で見つけた。最近はこの棚を見るのが好きだ。教養とはなんだろうか?ソローは「記憶によってではなく、自らの思索に基づいたもののみが…

魔術と宗教、そして人々

魔術の人類史スーザン・グリーンウッド 超田内志文 訳東洋書林 私はオカルトが好きだ。心霊やら呪術の類いに心惹かれる。科学では説明のできない、人間の知性では追えないような領域を見るのが好きである。そんな中で手に取ったのがスーザン・グリーンウッド…

あなたはどんな人ですか?

「女性同性愛者のライフヒストリー」矢島正見 編著学文社 私は定期的に、セクシャルマイノリティーの勉強をしている。これには2つの理由がある。まず一つ目は、私自身がレズビアンであるということ、2つ目は性の在り方や多様性、そして学問上における議論…

ヨーロッパにおける人文学

「人文学(人文科学)」とは、人類が創造した文化を広く対象とする学問である。今日では一般に社会科学や自然科学とされ哲学、文学、歴史学など大学の教養課程や文学部などで教授される学問となっている。よって、人文学は抽象性を帯びている学問と一般に受け…

ラ・ボエシ「自発的隷従論」

図書館の帰りに、書店に寄ってなんとなくふらついていると面白そうな本を見つけた。エティエンヌ・ド・ラ・ボエシ著の「自発的隷従論」だ。不勉強な私は初めてその名前と著書を知ったが、ちくま学芸文庫から出ていることもあり買って読んでみることにした。…

シモーヌ・ヴェイユを読んで

本との出会いは、人との出会いに似ているようなところがある。連休最終日に図書館へ行って、いつものようになんとなく哲学の書棚を巡っているとシモーヌ・ヴェイユを見つけた。以前より読者の方から名前を聞き、勧められてもいたので「これは!」と思って手…